南西地方の銘醸白ワイン ジュランソン
こんにちは、ラ・ヴィネの店長 阿保です。
今日も朝から雨がちらつく曇り空。どこの産地の蔵元も、今年は雨が多くて寒い!
これだけ北から南まで移動しても、皆同じような話が出るほど、全国的に同じような状況なのですね。葡萄の開花がかなり遅れている南西地方の天気も早く回復してくれることを願っています。
さて、そんな中ですが、古都ポーの街を出て、今日もジュランソンの生産者巡りです。(ポーの街は最近大きくなっており、以外にも朝の通勤ラッシュで渋滞がひどい!)
朝一は、ラ・ヴィネでも人気の生産者の集まるモナン村です。ポーからは西へ車で30分ほどの場所、昨日クロ・ラペイルのジャン・ベルナール・ラリュが言っていたように、モナン村周辺の標高は比較的低くいため、より温暖な気候から、どっしりとした濃さを感じさせる味わいのワインが産み出されるのが特徴です。
最初の蔵元は、14年ぶりくらいで訪問するボルドナーヴです。
以前お会いした醸造家でもあるジゼル女史は今プロモーションでアメリカ東海岸に行っているそうで、栽培担当しているダヴィーが対応してくれました。
ジュランソンでお付き合いしている蔵元は全てビオロジックを行っており、認証も持っており、それぞれのワインを味わうのはとても興味深い。
ここではモノセパージュと呼ばれる単一品種で仕込まれるのは一部の甘口のみで、他は全て2~5種の葡萄をブレンドしたスタイルがとても魅力的で、他とはちょっと違ったブレンド由来の重層的な味わいを感じます。
さて、お次は2016年に訪問実績のある蔵元ブリュ・バッシェ。
相変わらずの穏やかで寡黙な印象のクロード・ルスタロ。雨の合間にせっかくだから畑も見ようよ!というお誘いで、モナン村の小高い丘に所有する畑を見学、雨が多くて、草刈も行いずらく、畑の葡萄樹は雑草に覆われています。
来週にはトラクター入れて、雑草をすきこみたいと話していました。もちろんプレパラシオンも散布しなくては!
どこの蔵元でも直近の2021年、2020年、2019年、2018年、2017年、そしてタンクや樽からの2022年と複数の甘口辛口を味わうと年のキャラクターと共に、ジュランソン・エリア、モナン・エリアの違いも明確になってきてとても興味深いですね。
さて、今日は午前モナン村の生産者を訪問したので、モナン村のソントル・ヴィルにある、人気のビストロ・レスタミネを訪問。前回来たのは、2007年ということで、実に16年ぶりです。
相変わらずの大きな鍋で出てくるスープ・ガルビュールは素朴な味わいで洗練とは無縁の家庭的な美味しさです。食の記憶は、即座に当時の気持ちや情景を思い出させてくれます。
そんな美味しくて情緒的な食事を堪能させていただきました。
これでオートルートのサービスエリアでの簡単な食事と変わらないお値段とは・・・
さて、午後はジュランソン方面に戻り、また標高の高い地域にあるラオアン村の山奥にある蔵元。以前弊社の元スタッフ久保や現虎ノ門店副店長の花島も訪問したことのある人気生産者ドメーヌ・ド・スシュです。
細い獣道のような山道を登り続けると、森の精霊でも出てきそうなうっそうとした青々強い緑の回廊を抜けた場所にその蔵元と畑があります。
高い標高由来のミネラル感ある伸びのある酸味、そして常に低いアルコールはどんなに凝縮しても12度台で、非常に上品で軽やかです。どれを味わっても美味しいのですが、やはり蔵元のワインは熟成させるべきもの。スタンダードクラスでも最低5年は熟成させたい味わいです。
ちょっと知的でワインの話になると止まらないエマニュエル・ジェッカーに対応してもらいました。
さて、ジュランソンを訪問するに当たり、そのバラエティ豊かな甘口をかなりの種類テイスティングするため、ちょっと大変だと思っていたのですが、やはりその独特の葡萄グロ・マンサン&プティ・マンサンは、過熟しても衰えない、むしろ酸味の強さを肯定するべき素晴らしい心地よい酸味を備えており、後味の良さは別格です。
蔵元のエチケットにもあるアンリ4世、このジュランソンは生まれ故郷として知られるとともに、地元でも、フランス全国でも多くの方に愛されている歴代の王様です。
ソーテルヌを筆頭とした貴腐ワインの銘醸とは明確に違った美味しさであることを実感させられました。
この辛口白ワイン全盛の時代に、どこの蔵元でも甘口のラインアップの方が必ず多いという、他の産地では殆どあり得ない状況が成立しているということは、百聞は一見に如かずならぬ、「百聞は一飲に如かず」。
ジュランソンは辛口も美味しいですが、甘口を是非味わってみてください!
さて、午後は蔵元訪問を早めに切り上げて、ボルドーまでの移動です。2時間半かけてようやく到着です。
大分日差しも出てきており、明日も天気は快晴の模様、ようやくサント・グラス(氷の聖人の日)も終わり、これからは今までの遅れを取り戻すように葡萄の成長を促す暑い日々がやってくることを期待しています。
明日はボルドーではいままであまり訪問したことのない小さなシャトーを2件ほど訪問して、今回の生産者訪問を終了予定です。
夜にはパリまで移動ですがストの影響が心配なところです。