こんにちは、ラ・ヴィネ 恵比寿店の阿保です。
今日のボーヌは予想通りの薄曇りで、雨がちらつく天気ですが、気温も高めで過ごしやすい印象です。
さて、今日からブルゴーニュの中心部であるコート・ドールを巡っていきます。
DOMAINE BART
まず最初の訪問先はラルサネ・ラ・コート村の蔵元ドメーヌ・バールです。
ラ・ヴィネでもここ数年よくご紹介している蔵元で、名匠クレール・ダユの系譜にあり、早くから注目されたブリュノ・クレールに比べて遅れていた印象もありますが、近年その知名度はかなり高く、国内外で評価はうなぎ登りです。
なんといってもその評価を上げているのが、若いピエール・バールの力であることは疑いようもありません。
ここ数年は特に素晴らしい出来であることを個人的に実感していますが、多くの方が入荷したワインを味わって、リピートしていることが何よりの証拠だと思います。味わっていただければその実力は確実にご理解いただけるでしょう。高騰するブルゴーニュでも掘り出し物であることは間違いありません。
挨拶もそこそこに、早速テイスティングです。今回は比較的仕込みに時間のかかっている2024年はマロラクティック発酵の終わるか終わらないかの微妙な時期となっている為、ほぼ製品化されている2023年を中心に試飲です。
昨年、マロラクティック発酵を終えたばかりで、長期の樽熟成を始めたばかりのキュヴェと同じものを一年越しでまた味わうというのは、どのように変化しているか、よくなっているのか、悪くなっているのか等、いろいろ考えながら味わえるのはとても興味深いものです。
例えば、マルサネ クロ・デュ・ロワは、昨年の飲みやすさから、一気にストラクチャーが前面に出てくるようなたくましいタニックな味わいになっています。そして蔵元の至宝ボンヌ・マールとクロ・ド・ベーズは、思いのほか前回の印象に近く、アタックは柔らかく甘美な味わいが前面に押し出されており、すごく美味しさがストレートに感じられます。(今楽しめる!)
ピエール曰く、この特級2つは、瓶詰めすると徐々にクローズして長期熟成に入るということで、瓶詰めしたばかりの今は特別な美味しさと言えるのかもしれません、経年変化の面白さを一番よく知っている蔵元の人が言うことは説得力が違いますね。
その後は、いくつかマロラクティック発酵の終わっている2024年のキュヴェをテイスティングさせてもらいましたが、なかなか魅力的なものが多く、やはり太陽を感じさせる2023年に比べて、やや冷たく繊細な味わいが特徴的でした。2021年が日本で人気があるのを考えると、2024年は方向性は近い感じがします。
マルサネ ラ・フィノットの葡萄樹
BERTHAUT GERBET
さて、お次は隣村フィサンに居を構える蔵元ベルトー・ジェルベです。
ラ・ヴィネの多くのスタッフが訪問しては魅了されてくる蔵元ですが、私自身は初訪問となります。
アメリーさんが対応できるかどうかわからないとの返答できしたが、今日はアメリーさんに対応してもらいました。
こちらでもやはり同じように瓶詰めしたばかりの2023年ものを一通り味わうことになりました。蔵元では完全に除梗して仕込むスタイルで、非常にタンニンが艶やかで、ピノ・ノワールの甘美な味わいが前面に押し出されています。
ストラクチャーを感じさせ、色合いの深いフィサン&ジュヴレの一群、そしてフローラルで透明感が感じられるヴォーヌ・ロマネの一群がはっきりと違いを際立たせているのが印象的です。
まあ、いずれにしても美味しいのですが!
ちなみに蔵元訪問では、結構見たことのない知らない区画のキュヴェもあって、驚かされます。アリゴテなんかも一樽仕込んでいて、これはプライベート用!と釘をさされました(汗)
その後は、ニュイ・サン・ジョルジュの街中にあるカフェ&レストランで食事です。地元の人たちが結構来ていて賑わいのあるところで料理もなかなか美味しく頂きました。
DESERTAUX FERRAND
午後、最初の訪問先はこちらデゼルトー・フェランです。こちらは確か15年前位に一度訪問したことのある蔵元です。お付き合いは続いていますが、本当に久しぶりの訪問です。
こちらはニュイ・サン・ジョルジュ地区の南端プレモー・プリセ村の南に隣接するコルゴロアン村の蔵元です。今でも現役で石灰岩の石切り場が稼働しているような場所でもわかる通り、非常に石灰質に富んだテロワールが特徴です。
その為、蔵元の、赤も白もこの地で生み出されるワインは、ちょっとタイトでミネラリーな酸味を帯びるのが特徴です。それが現在の温暖化の影響を感じる豊かな果実味との相乗効果がとてもよく、近年益々美味しくなってきていると感じます。
蔵元では、昔お会いしたヴァンサンも居ましたが、息子のバスティアンが主導してワイン造りを行っているそうです。彼は、モンペリエで醸造を学んだあと、カリフォルニアの蔵元等でも修行して、2017年の仕込みから参加しているそうです。
最近の蔵元のワインの味わいの変化と、ラ・ヴィネでの人気の高さに納得できた感じです。
製品化されたばかりの2023年をテイスティング、場所柄、コート・ド・ニュイ地区のニュイ・サンジョルジュ&コート・ド・ニュイ・ヴィラージュと、コート・ド・ボーヌ地区のラドワ&ポマール、ボーヌの対比はとても興味深いところです。
タンニンの広がり方や質の違いをとても強く実感できます。
個人的には渋みが強いのに飲みやすいような感じが特徴的な、本拠地コルゴロアンのコート・ド・ニュイ・ヴィラージュの3種がとても魅力的でした。アルコール度数をチェックしたら、この地域のものだけ1℃高い!!甘美な味わいなわけです。
GEORGES MUGNERET GIBOURG
お次は、ラ・ヴィネでも入荷すると瞬間的に完売してしまうヴォーヌ・ロマネの人気生産者ジョルジュ・ミュニュレ・ジブールです。
近年市場価格が爆上がりしており、皆さんがコレクションしたくなるワインを造るトップ生産者のひとつと言えるでしょう。
今回は、お姉さんのマリー・クリスティーヌが対応してくれました。
蔵元では、まだ2023年の瓶詰めを行っておらず、樽熟成を終えて、ステンレスタンクでバッティングして、少し落ち着いてから、瓶詰めをする予定ということです。
ちなみに、2024年は生産量80%減という信じがたい状況で、再来年リリースするかどうかまだ未定のようです。
さて、タンクから抜き取って味わった2023年は、長期熟成はもちろんですが、今めちゃくちゃ美味しいのにはなんとも・・・今晩飲むのに持って帰りたい!
ヴォーヌ・ロマネの村名リュー・ディーであるラ・コロンビエールの透き通るような甘美さからのストラクチャーある味わい、そしてエシェゾーの肉付きの良い甘美さは特に魅力的でした。
MICHEL GROS
ミュニュレ・ジブールを訪問した後は徒歩でも直ぐに訪問できるミシェル・グロを訪問です。
最初から言われていた通り、ちょっと時間が無くて急いでいるというピエールに、まだ樽熟成中の2023年を駆け足で一通りテイスティングさせてもらいました。
樽から次々に抜き取られるワインをテイスティングしながら、写真も撮り、話を聞き、質問も行いながらメモを取る・・・いや~のブルゴーニュでのテイスティングはハードですね。
ピエールも、新樽比率を見ながら、例えば新樽50%のワインは新樽と3年樽の両方をピペットで抜き取りブレンドしながら対応してくれます。より製品化された味わいに近いものを試飲できるように細かな気遣いです。(やらないときはこちらもお願いするんですけど!)
ちなみに、ここミシェル・グロでも、2024年の生産量は激減で、こんな感じです!
Clos de Vougeot 2023年 4樽 ➡ 2024年 1.5樽
Echezeaux 2023年 7樽 ➡ 2024年 1.5樽
Richebourg 2023年8樽 ➡ 2024年 4樽
寒い年、暑い年、アップダウンが多いですが、ちゃんと美味しい状態に仕上げてきますから、その葡萄栽培とワイン造りには頭が下がります。こういった部分をいろいろ見聞きできるのは本当にありがたいところです。
我々はもう少しこういった部分も発信していかなくては!
帰り際には、お父さんのミシェルも居たので、せっかくなので3人で記念撮影になりました(笑)
さて、夜はボーヌの町にあるレストランで食事です。
今日は思いのほか閑散とした街でした、あまり経験ないのでびっくりです。
何度か行ったことのあるレストランで食事にしました。
今日はコート・ド・ニュイ地区を固め打ち、明日は南部コート・ド・ボーヌ地区を精力的に巡っていきます。